aaa

2009年5月3日日曜日

ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016)

テレビVsネットの社会解説本

メディアの象徴であるテレビと、驚異的な成長・変化を遂げるネットを比較し、これからの動向を記した本。
テレビがネットのコンテンツになる社会動向と、通信業界・著作権・メディアリテラシー・国家政策のことやジャーナリズムの主張など、包括的に論じている。

内容の80%が解説になっているものの、これまであまり馴染みのなかったTVや通信業界をめぐるここ2,3年の動向を知ることができた。

今更ながら、ホリエモンが日本放送株を取得していた時の彼が持っていたビジョンを少しは理解できた気がする。2ちゃん、YouTubeなどでコンテンツをユーザーが投稿などで作る時代となった今、コンテンツ配信のプロ(動画・文問わず、制作側)は「もう、儲からない」のかも知れない。ユーザーはプロの論評やコメントをブログで見ることができ、ニュースなどの配信スピードは新聞より早い。

web2.0時代にあったサイトの構築を、一般企業なりメディア会社が仕掛けることが、今の進むべき方向だと思った。
(ただ、これも1,2年で方向転換するのかも・・・)

しかし、高齢者にはまだまだネットの馴染みが薄いだろう。65歳になるうちの両親もパソコンを持っていないし・・・高齢化社会にどうネットが浸透するかの解説や主張も盛り込んで欲しかった。

新しそうで新しくない議論の集成

「放送と通信の融合」について、著者の論考を示した本。前半で主に語られているのは、「ハードディスク録画でテレビはCMスキップで見られて、民放のビジネスモデルはやばい」というのと、「動画投稿サイト・ユーチューブの隆盛で著作権はどうなる」というもの。今まで散々語られた議論なので、この間の議論を追ってきた人には今更感のある内容かも。著者の主観は入っているが、「放送と通信の融合」論を理解したい人には、分かりやすくて手助けになる。「放送と通信の融合」って新しそうなテーマだが、注目されるようになったのはニッポン放送の買収騒動が持ち上がった2年前だから、話題としてはもう古くなってるんだなと、逆に感じてしまった。

ところで、終章になってイラク人質事件について、なぜか教えている大学生に朝日と読売の社説を読み比べさせる。そして、ルモンドの記事やTBSのパウエル長官会見を提示して朝日寄りに誘導。人質家族を異常という日本は、海外から見たら異常なんだそうで。それ以前のページで「ネットがあれば、誰でも情報発信者。数があれば質が確保される」と書いたのに、その後で一時の感情で沸騰するネット世論の圧力が心配だという、陳腐な大衆社会批判で終わっている。なんと尻すぼみな…