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2009年5月4日月曜日

テレビ番外地—東京12チャンネルの奇跡 (新潮新書)

看板に偽りあり?


 著者はテレビ東京の常務取締役を勤めた人物。他局よりも極端に視聴率が低かったために「テレビ番外地」とまで蔑まれた同局での興味深いエピソードを、その黎明期からずっと携わってきた著者が綴った新書です。

 ですがこれはやはりエピソードのパッチワークです。
 その経験談のかけらのひとつひとつが、「番外地」ならではの興味深いエピソードといえるかどうかは疑問です。

 著者の主張がよくわからないところも一度ならずありました。
 皇太子ご成婚番組で、二人の馴れ初めを描いた再現ドラマをボツにしたとありますが、著者が「再現ドラマはありえない」と考える根拠が本書では不明確でした。
 また視聴率調査会社の社員の後をつけ、モニター家庭がいるとおぼしき地域に番組PR素材をばらまいたという先輩の逸話を綴っています。この一件を、つい近年視聴率モニター家庭に自分の担当番組を見るよう頼み込んで解雇された在京キー局のプロデューサーの事件と比較して、それとは質が異なるかのように著者は記しますが、一般視聴者から見れば同じ穴のムジナではないでしょうか。

 最後の2章である「真夜中のセールスマン」と「テレビ今は昔」は、前者は著者が現在籍を置くテレビ通販会社に関するお話ですし、後者はテレビ界全体に対する著者の思いが綴られていて、それぞれうなずけるところはあるのですが、「テレビ番外地」という表題の書に似つかわしい構成要素であると、素直に首肯できるものではありません。

 などと思っていたところでこんな一節に出くわし苦笑してしまいました。
 「書き出したときは"番外地"発ならではと意気込んでいたものの、終わってみれば並の放送人の並の体験談の域を出ていない。ここまでお付き合いいただいたのにと、恐縮の念にかられます。」(192頁)
 この文章が著者の謙遜には聞こえず、冷静な自己分析と反省の弁であるところが悲しい一冊でした。

オビに偽りあり

「ハレンチ学園」「ローラーゲーム」から「WBS」まで、元名物編成局長が秘話を大公開!・・・
というオビの惹句に魅力を感じて買ってはみたものの、「ハレンチ学園」については1ページ少々で、番組の内容にはまったく触れられておらず、「ローラーゲーム」に至ってはわずか6行ほどの記述しかなく、まったくの期待はずれです。

音楽賞のトラブルの話などは関係者名がイニシャルだったり年度も明らかにされていなかったりで、資料的価値もほとんどゼロ。しかも
「私が書いたのはテレビ界の裏話ではなく、(中略)番組制作の機能の一段面です」
とのこと。オビに書いてある「秘話を大公開!」って何だ。誤植か。
時間の無駄なので読むのをやめようと何度も思ったけど、レビューを書いてやろうと思い、その義務感でようやく読み終えました。

本人が最終章に書いている、
「思いつくままに、というかむしろ行き当たりばったりに、自分の思い出を綴ってきました」
という文が全体をよく表してます。元テレビマンの苦労話と自慢話。そういうのがお好きな方はどうぞ。

新書なので写真はありませんが

僕は正直今のテレビ東京は深夜や年末年始の実験枠でわけのわからない番組が時折飛び出す以外は、旅やら販促番組やら固定化してしまいあんまり面白くないと思っています。ハプニングも頻発し、本音も出る長い時間の生放送が減ってしまったせいではないでしょうか?

ただ黄金期の東京12チャンネルは信じられないほどすばらしかった。1日の半分は12チャンネルを見ていましたといえるほど他局と比べて面白い箱でありました。当時他局の1/3の制作費を逆手にとった「少ない予算で大きな企画」とかは名言でした(誰が言ったのか知りませんが)。

社内も外注の製作人にも、出る人にも才気あふれる人が多くてよかった。少ないカメラ数を補うハンディカメラの人も、東京タワー直下で窓の少ない社屋も、手書きテロップの人とかも、暗めの声で「ごらんのスポンサーがお送りしました」と言う年配の女子アナウンサーの方なども、みんな特徴的でした。

石光さんも編成局長だったため全体を見られているせいか、以前出た他の方の「東京12チャンネルの挑戦—300チャンネル時代への視点」よりも秘話的な裏話が多いような印象ですが、やはりメジャーな部分を多く取り上げている気がしました。東京12チャンネルの看板番組を知る人には、楽しい本だと思います。

本当はもっとマイナーな部分が支えていた面もあるので、本当は棟武郎さんとか、バラエティ系や変わった番組をやっていた人々のアイデアについて、あるいは経営眼的には、敏腕すぎた中川社長(当時)とかのビジネス的視点の本が見たいなぁ、などと思うのですが、新書だけに特にこの本自体には不満はありません。

著者が、最終章近く、大ヒットさせた輸入通販番組「テレコン・ワールド」を経て、最終的には系列通販会社へと移行していったところが時代を感じさせます。

テレビは2008年まで通販の世界が王道でした。この局の得意分野である"経済"の不況が迫る中、消費が冷え込み各局がパチンコと特定宗教関連組織のCMに頼り、視聴者が違和感を抱くという中、どのようにこれからのテレビが変わってくるのか、さて今のテレビマンに航海図は描けているのでしょうか。

テレビはどうあるべきか



 インターネットの普及でテレビ自体を見る方が減って来ているそうです。
 本来テレビは何を報道して、何を伝えるべきか、考えさせる一冊です。
 私は、ほとんどテレビを見ませんが、晩ご飯を食べているときは、テレビを
見ています。最近は、お笑い、人をコケにする番組、スポーツ選手をオチョクル
番組などが多くて、ついテレビを消してしまいたくなります。
 東京12チャンネルは、独自の方針で、有名人が一般家庭に泊まったり、
温泉巡りをしたり、家族で安心して見ることができる番組があります。
 家族が茶の間で感心して見ることが出来るチャンネルが更にほしくなって、
テレビって何を伝えるべきか、考えさせられる一冊です。

小なりといえども、意気高し……

現在もテレビ東京(旧東京12チャンネル)の番組は異彩を放っている。
低コストというだけでなく、ヨソの局が一斉に同じような番組をやっている
国民的関心事のときに、
お笑いタレントの旅グルメを堂々とやっている。

かと思うと、ワールドビジネスサテライトという硬派の経済ニュース番組を
長く続けている。

テレビ局でも出版社でも、どんな会社でもそうだが、
小さいときは逆境を逆手に取ろうと、あの手この手でがんばる。
しかし何かが当たって少し大きくなると、売れた(ヒットした)前例のある
コンテンツが多くなる。

テレビ東京も、名物番組だった「テレビチャンピオン」がついに終わった。
一抹の寂しさを覚えつつも、
かつて(かろうじて今も)、反骨精神にあふれるテレビ局があったことを
懐かしく思い出させてくれる一冊だ。

メディアのあり方とは……というほど大げさではないにしても
少し考えさせられる本ではある。
そもそもメディアとはゲリラ的であるべきではないのか……と。