惜しい
いい内容であったが、民放テレビ局への迎合が感じられてしまった。
USは映画会社がTV番組を作っていることは作っているが、一方でアメリカはケーブルの普及率が日本と比較できないほど高く、いろいろなプロダクションがきちんとビジネスとして成り立っている。つまり競争があるからこそ多くの有能な番組製作会社が存在する。
また、彼らを輩出する大学が多く存在することも述べられていない。
仕事柄テレビ局関係者と仲がいいのは明らかで、角が立つことが書けなかったことが見えてしまう部分が惜しかった。
むしろ政府の中から多チャンネルコンテンツ立国実現へ向けて努力してほしかった感すらある。
役人出身→学者の悲しいところ
本書のキーワードは、
?「流通力の覇権?と「創造力の覇権?
?「次のテレビ?と「テレビの次?
これらから想像するものを考えてみて、なんだろうと関心がわけば、
本書を読んでみるといいでしょう。
全般的に博識で詰め込みすぎ位ですが、抽象的で、机上の議論に
しか見れないところが、役人出身→学者の悲しいところです。
業界の商習慣・バイアスがよく分かります。
・テレビがどう進化していくか・衰退していくかに非常に関心を持っています。現状の政府が脳死状態の日本を打破できるのは地上波で有力なアンカーマンが真っ当な世論を形成することだと信じて止まないからです。
・さて、私の目からは、衰退すべくして衰退して行っているテレビ業界は「どういう組織内ロジック」で動いているのか?に興味がありましたが非常に分かりやすかったです。これじゃあ、衰退するのも仕方ない。ゆっくりとした変化だが確実に広告収入は落ち込み、最後は茹でガエル状態となるのでしょうね。著者は映画業界になぞらえていますがその通りだと思います。
・本書の中でなるほどと思ったのは
ー(著作権を言い訳に動かない業界のまとめとして)勿論、法制度そのものを論じるといっても、官僚組織の行動原理ではそう簡単にいかないことは既に説明したとおり。コンテンツ制作における混乱の中で、今も注目を集める「放送」の解釈問題はその好例である。著作権者の庇護者である文化庁と放送業者の庇護者である総務省の膠着状態の被害者は、サービス進化の停滞という負の影響を被る消費者である。(全くその通りですね。)
・また特にワイドショー中心に「なぜマスコミはココまで馬鹿なのか?」とよく疑問に思うのだがそれに対して
−視聴者の意見を踏まえて番組作りをするノウハウが現状のところ欠如している (ニコ動のようなものをヒントにすれば色々なアイデアが浮かぶはずだろうが)
ー逆に、TVを録画する用のHDDが売れているのは日本特有で、それは地上波の特にドラマが出来が良いからだと。(まあそうかもしれないですね。)韓国や中国人も好きな理由も分かります。
・また"編成表"(=TV番組表)に滅茶苦茶執着している、というのは言われてて初めて知りました。既にHDDに録画して保存しているので編成表なんてものは世の中に存在しなくても良いのだがTV業界はまだそんなものに縛られているのですね〜。原始時代のようで面白いです。
・TV業界が買収に抵抗し、著作権や放送権の解釈論議を言い訳に既得権益を守ろうとしても時代は進むのでしょう。確信しました。
「テレビ」に留まらない内容
テレビ放送と通信それぞれの定義と融合(あるいは棲み分け?)
について、ガッツリした論を期待していたが
ダイレクトにそこを言及した部分はそれほど多くない。
むしろネット系コンテンツの価値や流通方法についてを
浅く広くカバーしたという印象。
事例も、この種の「ギョーカイ」では
よく引き合いに出されるトピックばかりで目新しさはないが
コンパクトに復習・概観できるという意味では良い。
ここ数年のコンテンツライツについて振り返りたいという
「ギョーカイ」従事者は、頭を整理するのにジャストな作り。
本書を起点にして学びたい読者は、Wikipedia等の
サブテキストをあたりながらがいいような気がする。
「テレビの次」のヒントをあたえてくれる本
「放送と通信の融合」に関する本は何 10 冊かあるが,本書はそのなかでももっとも示唆にとんでいる.テレビの進化をかんがえるうえでコンテンツをどのように発展させていくかをかんがえることが重要なのはいうまでもない.しかし,著者はテレビ局や従来の放送・通信政策におさえつけられていた古典的な意味でのコンテンツ制作者を自由にすることを主張してはいない.むしろ,「次のテレビ」や「テレビの次」として,YouTube やニコニコ動画がしめしているような Web 2.0 的な方向をみている.「テレビの次」のビジネスモデルのヒントを Google や楽天にみている.とはいっても,よみおわると,むしろいろいろともやもやした感じがわきあがってくる.むしろ,そのもやもやをそだてていくことが今後のたのしみだとおもえる.